公開取材企画「おしえて!小さいアバターさん」

By紅花/Koka

10月 3, 2022

 だれでも自由な姿になることができるメタバース。clusterでは、cluster内にあるホームワールドで「AvatarMaker(アバターメイカー)」を利用しオリジナルアバターを簡単に作成することができます。また、clusterのウェブサイト上からVRMアバターのアップロードを行ったり、アバター展示即売会「アバターマーケット」にて他ユーザーからcluster用アバターを購入したりすることで、ほとんど制限なく好きなアバターでバーチャル空間を楽しむことが可能です。人間の姿をした人もいれば、動物や植物、食べ物、ファンタジーな生き物や物体になる人もいて、アバターの種類は人によってさまざまです。

Cluster新聞部メンバーのふろすとさんが制作したかわせみアバター。「アバターマーケット 2022 春」にて販売された。

小さいアバターを愛用するclusterユーザーも

 その中でも、とりわけ「体長の小さなアバター」になってバーチャルの世界を楽しむ人々がいます。イベントやワールドなどに遊びに来た小さいアバターの人々が、仲睦まじく一箇所に寄り集まるかわいらしい様子はclusterではよく見られる日常の光景で、自然発生的に生まれたユーザー文化のひとつとなっています。

 そこで今回は「小さいアバターを使うようになったきっかけは何なのか?」「どのようにclusterを楽しんでいるのか?」、その秘密に迫るべく、小さいアバターの方たちへ公開取材を行ってまいりました。題して、「おしえて!小さいアバターさん」。本記事ではその取材内容をレポートしていきます。
 なお、今回の取材イベントにご協力いただいた方々(掲載許可をいただいた方のみ)のお名前を本記事の最後に掲載させていただいております。ワールド「妖怪うさぎの箱庭」をイベントワールドとしてご提供いただいたえぬふしさん並びに取材にご協力いただいた来場者の皆様、誠にありがとうございました!


―小さいアバターは好きですか?

 さて、取材イベントの開場後すぐに来場者の方々へこんなアンケートを行いました。

「小さいアバターは好きですか?」
▼アンケート回答結果(総票数23)
1. 好き!     票数: 1 (4%)
2. 大好き!!   票数: 6 (26%)
3. モフモフ!!! 票数: 16 (70%)

 おそらくイベント名を見て遊びに来てくれた方がほとんどで、小さいアバターへの溢れんばかりの愛情を持ったユーザーの方々に多くお集まりいただけました。これより本題の取材がスタートです。

開場直後、仲良く縁側に並んで待機中の来場者のみなさん
取材が始まり、小屋を囲んでぎゅっと集まる来場者のみなさん


―小さいアバターは自作しましたか?購入しましたか?

 まず、使用している小さいアバターは自分で制作したものなのか、それとも他者から購入したものなのか、はたまたそれを改変したものなのか、アンケートを行ったところ、結果は以下のようになりました。

「小さいアバターは自作?購入?」
▼アンケート回答結果(総票数33)
1. 自作だよ!   票数: 10 (30%)
2. 購入したよ!  票数: 9 (27%)
3. 改変してるよ! 票数: 9 (27%)
4. 1,2,3全部! 票数: 5 (15%)
5. その他     票数: 0 (0%)

 回答は「自作」「購入」「改変」すべて比較的均等に分かれ、全部しているという方もわずかにいました。購入や改変については「BOOTH」や「アバターマーケット」でアバターを入手したという意見が多く、「VRoid Hub」や「ニコニ立体」からダウンロードしたという意見もありました。もともと小さいアバターとしては販売・配布されていなかった普通サイズのものを、フレンドに小さく改変してもらったというケースも。自作や改変に使用するツールとしては「Blender」「Unity」など定番ツールのほかに「VRoid Studio」が人気のようです。


―小さいアバターでclusterを遊ぶ時、スマホモード・デスクトップモード・VRモード、どれを利用することが一番多い?

「小さいアバターを使う時、どれが一番多い?」
▼アンケート回答結果(総票数36)
1. スマホ      票数: 5 (14%)
2. デスクトップ   票数: 18 (50%)
3. VR       票数: 4 (11%)
4. どれも同じくらい 票数: 8 (22%)
5. その他      票数: 1 (3%)

 デスクトップモードを利用している人の多さが目立つ結果となりました。デスクトップモードを利用する理由として挙がったのは、
「VRは長時間遊ぶと酔うので、デスクトップの三人称視点モードで遊ぶことが多い」
「小さいアバターは視点が低いため、一人称視点だと酔いやすい」
「三人称視点だと自分のアバターのかわいい後ろ姿が見えてよい」
「Unityで作業をしながらclusterに入って放置しておきたい」。
逆に「小さいアバターに限らずVRで入ることが多い」という人や「スマホしか持っていないのでスマホで」という人もいました。また、「スマホユーザーのフレンドに合わせてまずはスマホで入り、VRモードで遊ぶとより楽しめそうなワールドやイベントにはVRで入りなおす」といった意見もあり、自分の好みやシーンに合わせて使い分けのできるclusterならではの遊び方をされているようです。中にはスマホ・タブレット、デスクトップ、VRをすべて駆使して「四分身可能」という猛者も!


―小さいアバターになることによって、気持ちや行動に変化はありますか?

 ここからはアンケートはとらず、質問に対して来場者のみなさんからコメントをいただく形でインタビューが進行しました。

「小さいアバターになることによって、気持ちや行動に変化はありますか?」

▼ポジティブな側面

  • 小さいとわちゃわちゃしたくなる
  • 高い場所に登りたくなる
  • ハムスターのような小さい生物になった気分
  • 甘えたくなる
  • かわいいと言われて嬉しい
  • 小さいからこそできる振る舞いがあって楽しい。テーブルの上に乗っても許される
  • 背が低い方がジャンプ力が上がる
  • 素早くなった気分になる

▼ネガティブな側面

  • 大きい人がこわくなる
  • 人数の多いイベントだとステージが見えなくて困る
  • 小さすぎて集合写真に写らなかった
  • 銭湯やプールのワールドで水没する
  • アスレチックワールドの難易度が上がる
  • スカートを誤って覗いてしまわないよう気をつけている

 小さいからこそ感じる気持ちや利点が存在することがわかりました。多少不便なこともあれど、普段よりももっと開放的に振る舞うことができると感じる人が多いようです。

わちゃわちゃとジャンプをしながら反対側の岩山へ移動
屋根や柱の上など小高いところが大好きなみなさん


―小さいアバターの人たちがくっついて集まる文化はいつから始まった?

 ワールドやイベントで小さいアバターの人々が密集する様子はclusterの名物ともいえる光景ですが、どのようにして生まれた文化なのでしょうか。来場者のみなさんへ聞いてみました。

  • 人型に比べてくっつきやすい
  • 小さいアバターがかわいいから近くに行きたくなる
  • サイズが近いと仲間だと思って近づいてしまう
  • フレンドに小さいアバターの人が多いのでなんとなくそうなる
  • 同じ傾向のアバターがいるとつい集まりたくなって自然に生まれた
  • 本能だと思う
  • 羊が群れを作るのと同じだと思う
  • 類は友を呼ぶ
  • 気づいたらすでに(集まる文化が)あった
  • 小さいアバター同士で写真を撮りたくなるため自然と
  • clusterのカメラの画角に関係がありそう。アバターが小さいとたくさん画面に映せるので楽しい
  • 小学校で整列する習慣がついたから
  • 「ハロークラスター」でロボアバターが整列していた
  • ロビーにキーウィ鳥が整列していた
  • 初期は小さい順に重なっていた
  • 「アバター制限解放」から
  • 「大加速祭2021」の「アバターマーケット」から

 いろいろな意見が飛び出しましたが、元をたどると2021年3月末に開催された「大加速祭2021」の「アバターマーケット」にて同じアバターを購入した者同士が集まって写真を撮る傾向がすでに見られたそうで、clusterをログアウトすることなくcluster内でアバターを購入しその場ですぐ着替えられるという「アバターマーケット」のシステム上の特徴がユーザーの行動心理に影響を及ぼした側面がありそうです。その後、2022年1月の「アバター制限解放」でアバター選択の自由度が上がり、自然と感じていた小さいアバター同士で集まることが楽しいというユーザーの気持ちにさらに火がついたとも考えられます。

―あなたにとって小さいアバターの魅力とは?

「小さいアバターの魅力とは?」

  • かわいい
  • 癒し
  • 優しい気持ちになれる
  • 可愛がってもらえるから好き
  • かわいさ二割増し
  • やんちゃしても許してもらえそう
  • かわいいと許しちゃう
  • モフモフ
  • 可愛いもの好き同士でわちゃもふできる
  • いっぱいいてもコンパクト
  • 結束が強い
  • 囲まれるしあわせ
  • 自分も相手も癒される
  • ぬいぐるみが動いたみたい
  • 小さいとよくかじられる、食べられそうになる
  • 普段見れない視点から世界が見える
  • リアルでは見ることができない視点で物や人を見れて楽しい
  • 前方に行きたいときに小さいアバターになれば邪魔にならない
  • VRモードの3点トラッキングでもおかしくなることがあまりない
  • スマホモードやデスクトップモードで棒立ち・置物状態であっても小さいと可愛い
  • 喜びを表現しやすい

 また、小さいアバターの魅力に気づいたきっかけについて、クリエイター視点でのコメントをくれた方もいました。

  • clusterは以前まで使用できるアバターに制限があったたためポリゴン数を抑える必要があり、低ポリゴンの小さいアバターを制作するようになった
  • 大きくて低ポリゴンだとゴツゴツして見えるが、小さいと低ポリゴンでも辺の長さが短くなるので綺麗に見えやすい
  • 256(にごろ)フェス*に参加したのがきっかけになった
    *「256フェス」…3DCGモデラ―のzen氏が立ち上げた、256三角ポリゴンの制限で制作した作品を公開し共有するモデリングイベント。
  • zen氏のモデリング初心者向けYouTube動画「ワニでもできる!モデリングforVRChat」を見てかぼちゃアバターを制作したのがきっかけ
  • ぱんだのイラストをよく描いていて、それがアバターになった
  • イベントの時に邪魔にならないように小さくしたらしっくりきた

 以上で取材は終了です。ご協力いただいたユーザーのみなさま、ありがとうございました!

 さて、今回の取材で小さいアバターの魅力がすこしでも読者のみなさまへ伝わりましたでしょうか。今まで小さいアバターにあまり馴染みのなかった方も、もちろん小さいアバターが好きな方も、記事を読んで関心を持った部分があればぜひ普段のワールドやイベントで注目してみて、フレンドとお話しあったりツイート等で発信したりしてみてください。これを機に、小さいアバターを使っているフレンドに教えてもらいながら、小さいアバターのモデリングや改変に挑戦してみてもよいですね!

 自由自在に姿を変えられるメタバース。一人ひとり思い思いの姿で、一緒にclusterライフを楽しみましょう!


公開取材イベント概要

イベント名
ClusTimes公開取材「おしえて!小さいアバターさん」
イベントURL
https://cluster.mu/e/942ba707-db56-4b7c-92ad-536d31950359
ワールド提供
ワールド「妖怪うさぎの箱庭
制作者 えぬふしさん
Cluster新聞部取材スタッフ
取材・記事執筆
紅花(こうか)
写真撮影
ふろすと
警備・録画記録
しゃーくのジャンベザメ

取材にご協力いただいたclusterユーザーの皆様(敬称略・順不同)

えぬふし、金魚ちゃん、しまりん、英ちゃん、るいぱん、しもしゅんぱんだ、けぱんだ、河童のブラッド、お薬、マイキー、水星魔王、komatsu、ばくだん、メタらいおん、RECO、PPぱんだ、ちい*、つゆあさぎ、ゆずっち、水雲(もずく)、ゆみお、ネイヴィル、ミニみっつ、わんわん主任、無口な外人さん、Kaeru_Tap、歩留マリ、マカロン、ササカマ、ピカチュウ、キャサ、とんび、チャキ
※希望者のみ記載させていただいております。希望したにもかかわらず、お名前の記載漏れ・誤表記等がございましたらお手数ですが紅花(@Koka_safflower)までTwitterDMいただけますと幸いです。

紅花/Koka

cluster新聞部記者。NPO法人バーチャルライツ公認第1期VR文化アンバサダー。芸術と教育分野に関心が高い。TwitterID:Koka_safflower

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